室内リハビリ一ヶ月
アルタを母ヤギと引き離して玄関で飼うようになったが
メーメー鳴いて騒いだのははじめの1時間くらいで
すぐ人間を新しい群れの仲間のように思ったらしくおとなしくなった
玄関の隣は居間でガラス戸越しに人の気配が感じられるのか静かにしていてくれて助かった
両親と再び交流できたのは車椅子で外に出られるようになってから
吊られて立つだけのリハビリの毎日
寝床のアルタにハーネスを装着するのも大変な作業だった
寝床にいる間にした尿で腹が濡れてしまっているのでタオルで拭く
胴回りと下半身にハーネスのベルトを廻す際は途中で寝返りを打ってもらうのだが重いし機嫌が悪いと角をぶんぶん振って殴ってくる
立ち上げるのもひどい重さで、転倒したり腰や肩を痛くしたりした
30kg足らずの体重でこれではもっと成長したらどうしよう
アルタの父親は60kgほどある。同じくらいになったら…
B医師が言っていたように天井に滑車を取り付けなければ…
最初のころアルタは四肢に力が入らずぐったりと紐に体重をかけてしまいだらーんとしていた
ハーネスを持って体を持ち上げ、脚の位置を直してしゃんとさせることを繰り返す
ちょっと目を離すとまただらーんとなってしまう
おしっこをしそうになると(アルタは糞→尿の順に連続して排泄することが多い)すかさずペットシートを敷いて受ける
吊っている間は片時も目が離せなかった
試しにアルタの好きな草を採ってきて差し出すと急に目を輝かせて四肢をシャンとさせるのでこれがリハビリのときの習慣になった
最初は5分、だんだん1時間、2時間と立つ時間を長くしていった
好物で機嫌を良くすれば立っている時間も伸びる
時々ハーネスで歩行させてみようと試みるも相変わらず足がもつれて全くだめだったのだが
それでも四肢を広げて立っているアルタを見ると希望が沸いてくる気がした
元通りにならなくても、生き続けてくれるかもしれないという希望である
玄関にずっといてもいいじゃないか
家の中に大きいヤギがいるというのもなかなか楽しいものだ
父親ヤギ(左)と